費用の増大
法人化すると、意外とお金がかかるのだ!
- ''赤字でも納税しなければなりません''
会社の利益が欠損(マイナス)であっても、都道府県民税2万円と市町村民税5万円(市町村によって異なるところもあります。)の合わせて7万円の負担は、必ず発生します。
- ''商業登記が必要になります''
会社の設立費用はもちろん、事業所を引っ越した場合の「本店移転」、役員の交代・退任・改選については「役員変更」、資本金を増加させた場合も「増資」など登記が必要になってきます。ご自分で登記するにしても登録免許税がかかります。
- 社会保険の強制加入
原則として、法人にした場合には、社会保険に加入しなければなりません。支払う社会保険料の半分は会社が負担することになります。
- 税理士報酬が発生する
個人事業と違い、法人の場合は、申告書を自分で書くことは困難と思われます。そこで、税理士を依頼することになるわけですが、相場として、月額顧問料と決算料として月額顧問料の数か月から6か月分発生します。
税務上のデメリット
- ''決算と税務申告が複雑''
個人事業に比べ、その帳簿の正確性が求められます。
縛られる法律も会社法から法人税など制約が多くなります。「個人事業」のように、儲けのすべてが「事業主のもの」というわけにはいきません。
- 役員給与の縛り
法人の役員報酬は、原則として、毎月同額でなければいけません。定時株主総会の時に役員報酬を決定するのですが、その時以外は、その報酬額を変更することができません。
ですから、事業年度の途中で予想外の利益が見込めたからと、報酬を増額したとしても、それは会社の費用(損金)とはなりません。
合わせて、役員賞与を支払ったとしても損金にはなりません(損金にするには、一定の届出書を税務署に事前に提出する必要がありますが、期限等が厳密に定められています。)
- 交際費等の損金不算入
「個人事業」であれば、事業性のある「交際費」は必要経費となりますが、法人の場合、事業性があるものでも、一定の金額は、会社の損金となりません。
ただし、個人事業なら何でも認められるというわけではありません。事業に関係するもの以外は、当たり前ですが、必要経費に算入できません!
その他のデメリット
- ''面倒くさいこともある''
「個人事業」時代から多くの取引先があるならば、法人化したことを報告すると共に、売上・仕入先に「振込先や口座引落の変更手続き」が必要となります。
数多くの取引先をそのまま引き継ぐ場合には、取引先に対して、その振込先の変更をお願いしなければなりません。
費用の増大というわけではありませんが、労力の増大ということにもなります。
- 会社を辞める時にお金がかかる
個人事業の場合、税務署に「事業廃止の届け出」を提出すれば、事足ります。
しかし、法人の場合、その登記を抹消しなければなりません。それには費用がそれなりにかかりますし、税務申告も届出書を提出することは当然のこととして、「解散」「清算確定」と段階を踏んで申告書を提出することになります。
また、会社に払い込んだ資本金以上の内部留保がある場合には、清算に際し、課税されることになります。
従業員を多く雇用している場合には、その再雇用先も考えなければならないこともでてくるでしょう。