法人の会計・税務
法人vs個人 会計・税務の取り扱いの違い
様々ありますが、代表的なものを例示します。
- 所得区分
個人の場合、所得の種類によって所得や税金の計算方法が異なります。
しかし、法人の場合は、事業・不動産・譲渡などその種類を問わず損益計算します。
- 保険料の取扱い
所得税では、生命保険料は原則として、必要経費に算入できません。所得控除で生命保険料控除として、最大で10万円(一般・個人年金合わせて)の控除できません。
法人税では、保険の種類によっては、全額経費算入することができるものがあります。
生命保険を使って、節税・従業員や役員の退職・相続税対策など有効な策をとれることもあります。
- 家族従業員に対する給料
個人事業の場合、事業専従者又は青色事業専従者として、特例という位置づけで必要経費に算入することは可能です。
ただ、夏休みだけ仕事を手伝ったという程度の御子息に労働の対価として支払っても、必要経費には算入することはできません。
法人であれば、親族関係のない従業員と同等の給付額であれば、認められます。
個人事業での節税
個人事業についても、代表的なものを例示します。
- 倒産防止共済
法人はもちろん、個人事業でもその掛け金は「必要経費」に算入することができます。
いわゆる経営のセーフネットです。
法人成りしなければ、加入できないというものではありません。
詳しくは、こちらを参照してください。
- 中退共
従業員の退職に備えるための制度です。
事業所得の計算上、必要経費に算入することができます。
ただし、個人事業の場合、事業主本人及び配偶者、同一生計に対して掛けることはできません。
詳しくは、こちらを参照してください。
- 小規模企業共済
事業主本人が自身の退職(事業廃止)に備えるための退職金制度と言っていいかと思います。
税制上、その掛け金を必要経費にすることはできませんが、「所得控除」として、その事業年度の所得から控除することができます。
詳しくは、こちらを参照してください。
決算書・申告書の種類等
★個人★
(主な提出書類)
・青色決算書(全4頁)
・所得税申告書(一表、二表)
・消費税申告書・同付表
★法人★
(主な提出書類)
・法人税申告書(主なもの8種類〜)
・消費税申告書・同付表
・法人都道府県民税・事業税申告書
・法人市町村民税申告書
・決算書(B/S、P/L、株主資本等変動計算書、個別注記表)
・勘定科目内訳書
・事業概況報告書
法人税の申告には、多くの申告書などの書類の提出を求められています。
その申告書の書き方も個人の申告に比べ、一般納税者にとっては、複雑怪奇で非常に分かりづらいものです。
残念ながら、自分で申告するのは、かなり困難です。
また、電子申告についても、自社で行うには、費用も労力もかかります。
そもそも「法人」が個人事業よりも「信用信頼」が厚いのは、その財務面を第三者が確認しているということが前提になっていると思います。
そういう意味でも、自社で申告書まで作成するよりも、外部専門家(税理士など)に依頼すべきですし、その負担を賄えないようであれば、「法人化」は断念すべきではないでしょうか。
申告書の提出先
★法人の場合★
- 法人税・・・税務署
- 消費税・・・税務署
- 法人事業税・法人都道府県民税・・・都道府県民税事務所
- 法人市町村民税・・・市町村役場
★個人事業の場合★
- 所得税・・・税務署
- 消費税・・・税務署
個人・事業税、住民税については、賦課(税額を自分で計算する必要はなく、所得税の確定申告書を基に税額を各役所で計算し、納税通知書が送付されます。)
税務調査 個人vs法人
税務調査の頻度は、個人に比べ法人の方が多いようです。しかし、その規模の違いから考えると、比べても意味のないことです。
規模が大きくなれば、その責任の重さも比例して大きくなります。
「税務署が調査に来る」というのは、気持ちのよいものではありませんが、取引先が多くなり、収益も増大していれば、税務調査も避けては通れないところになります。
要は、もれなく適正に申告していれば良いだけの話です。
税務調査に入られたくないから、法人化しない・・・なんて経営者はいないでしょうが(笑)